精製水は飲料水として不向きなものの、美容や医療分野、工業分野などで広く使われています。また、自宅で簡単に作れたり、ドラッグストア等で購入できたりすることから、身近な用途があることで注目されています。
しかし、実際に作るのは意外に手間がかかりますし、専用の設備を用意すると高くなることから手を出しにくいのも実情です。
そこで本記事では、精製水の基本や種類、作る方法とその用途を解説します。また、手軽に精製水を用意できるウォーターサーバーにも触れますので、ぜひ最後までご一読ください。
【この記事はこんな方におすすめです】
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目次
精製水とは
精製水とは、水道水や井戸水などの水源から、不純物や微生物を取り除いて作り出した水のことを指します。非常に純度が高く、美容や医療用途などにも使用されます。
精製水には、必要なミネラル分や栄養素が含まれていないことで美味しさを感じにくく、長期的な使用によって身体に悪影響を及ぼす可能性が一般的に示唆されていることから飲料水には向いていません。
加えて、用途ごとに精製水として認める定義や条件が決められており、すべてが安全な水とは言い切れませんが、幅広い用途があることから注目されています。
(参考サイト:厚生労働省「厚生労働省告示第64号 」/ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/JP17.pdf)
精製水の種類と特徴
精製水には、さまざまな種類があります。中でも代表的な種類である以下の精製水を紹介します。
- 蒸留水
- RO(逆浸透膜)水
- イオン交換水
それぞれに特徴がありますので、自分に合った精製水を選びましょう。
蒸留水
蒸留水は、水を沸騰させて発生した水蒸気を冷却し、再び液体にした水のことです。
電解質や不純物、微生物を取り除くため、蒸留水は非常にクリアで透明度が高く、味や臭いもほとんどありません。また、有機物の除去によって微生物の繁殖を防げる特徴もあります。
蒸留水は非常に純度が高く、医療機関や化学実験の器具の洗浄、薬剤の希釈に加えてコンタクトレンズの洗浄水などに使えるのがメリットです。
RO(逆浸透膜)水
RO(逆浸透膜)水は、RO膜(逆浸透膜)によってろ過された水のことです。高いろ過能力で河川水、地下水、水道水などの原水を浄水にできます。
ミネラルや微生物、化学物質などの不純物が限りなく取り除かれているため、未開封であれば長期保存できます。加えて、原水の調達が非常に手軽なことで価格も抑えられているのがメリットです。
イオン交換水
イオン交換水は、イオン交換樹脂を使って作られた水のことです。イオン交換樹脂は、水中の溶解物(塩素など)を吸着して、極力含まない清澄な水を作り出します。
基本的にはイオンの除去しかできず、他の不純物は精製後も残ってしまうのが一つの特徴です。あまり高い純度が必要とされない洗浄や、加湿器やウォーターバスなどへの供給水、バッテリー液などに使えるのがメリットです。
一方で、実験等に用いる場合は結果に影響する不純物まで取り除かなければならない点に注意しましょう。
精製水の使いみちは大きく3分野
精製水の使いみちは、大きくわけて以下の3つが挙げられます。
- 医療分野
- 美容分野
- 工業分野
いずれの分野においても、精製水が持つ特徴を活かせるよう工夫されているため、ぜひ参考にしてください。
医療分野
医療分野では、常水、減菌精製水、注射用水などの用途別で分類され、薬や液剤を作る際に用いられます。不純物を含まないため、医療器具の洗浄にも使われますし、臨床検査や試験においても同様の理由で採用されています。
また身近な例では、コンタクトレンズの洗浄で医療用や「コンタクトレンズ用」と記載されている精製水が使われています。水道水ではレンズの含水率へ悪影響を与えることから、保存液としても精製水は役立つでしょう。
美容分野
純度の高い精製水は、肌への刺激を軽減できることから化粧品やスキンケア製品の原料や、美容施術でも使われています。また、精製水の保湿力により、顔に潤いを与える効果も期待できることも理由の一つです。
また、オリジナルのスキンケア用品を作る際にも、不純物が含まれていない精製水のほうが成分と馴染みやすく、肌への負担を減らせることから用いられることがあるでしょう。
なお、精製水であってもパックとして使えば肌の表面にある水分が失われるため、長時間の放置は避けておくことをおすすめします。
工業分野
工業分野では、精密機器や電子部品、実験器具の洗浄に使われます。繊細な機械や実験結果において微小な不純物から発生する悪影響を減らし、品質不良を避けたり、正確に実験したりする目的があるためです。
また、外壁用の水性塗料や水性ペンキ、プラモデル用の水性塗料などは水道水で希釈できますが、不純物の少ない精製水のほうが調整しやすく塗りやすいことで重宝されることもあります。
他にも、自動車や工業用のバッテリーにも不純物のない精製水が選ばれるなど、幅広い用途で使われています。
精製水の作り方
精製水の代表的な作り方は、以下の2つが挙げられます。
- 沸騰させて蒸留水にする
- 浄水器でRO水・イオン交換水にする
わざわざ買いに行かなくても、精製水を使いたいシーンに合わせた純度に仕上がるように方法を選び、自宅で作りましょう。
沸騰させたら蒸留水に
精製水の種類として挙げた蒸留水は、鍋とガラスボウル、鍋の蓋と氷の4つを用意すると自宅で作れます。
- 鍋に水道水を半分入れる
- 鍋の中にガラスボウルを浮かせる
- 水道水を沸騰させる
- 鍋の蓋を裏返して乗せる
- 鍋の蓋の上に氷を敷き詰める
- 水蒸気が冷えてガラスボウルに溜まる
- 必要量が集まったら完成
蒸留水を沸騰させないように火加減を調整しつつ、火傷に気をつけて冷えてから取り出しましょう。どうしても手間に感じるときには、ドラックストアや薬局で購入するのもおすすめです。
なお、蒸留水は純度が高く、不純物がほとんど含まれていないため、雑菌が繁殖しやすいことから早めに使い切ることが大切です。
浄水器を使えばRO水・イオン交換水に
ウォーターサーバー等の浄水器を使って、RO水・イオン交換水を作る方法もあります。次世代ウォーターサーバーと呼ばれるものであれば、水道水から精製水を作れて手軽さも確保できるでしょう。
本来、RO膜(逆浸透膜)を使った浄水は数万円を超えるほど高価なため、自宅で気軽に利用できません。加えて、イオンのみを取り除くだけでは、その他の不純物を取り除けないこともデメリットとして挙げられます。
RO水やイオン交換水を作れるウォーターサーバーを用意できれば、不要な設備を用意する必要がなくなりますし、水道水だけで手早く精製水を作れるでしょう。
精製水はどこに売ってる?
精製水は、ネット通販やドラッグストア、ホームセンターなどで購入できます。
なかでも薬局では、医療用途の精製水を取り扱っており、高い品質・純度のものを見つけられるでしょう。売り場は化粧品コーナーや健康食品コーナーなど、精製水を取り扱う店舗によって異なります。
また値段は、容量やブランドによって異なりますが、1Lあたり約100〜200円ほどです。自宅用に作られた精製水を作れる機械であれば、一般的に1Lあたり約14〜34円ですから、20Lで280〜680円ほどで手に入ります。
まとめ
精製水は、医療・美容・工業分野など、様々な用途に使える便利な水です。沸騰や浄水器を使って作ったり、スーパーやドラッグストアなどで購入したりするだけで用意できます。
また、精製水を作るなら水道水から手軽に用意できるシャインウォーターがおすすめです。塩素・UV・熱のトリプルクリーンでおいしさと清潔を保てます。家で安心して飲める水の確保や、災害時のストックにも役立ちますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。