日本の水道水は、水質を保つために塩素を使って消毒されています。そのため、人によっては塩素特有の臭いや味わいに抵抗を感じる人もいるのではないでしょうか。
そのまま飲んでも健康への影響はありませんが、苦手な方は自宅で簡単に塩素を取り除くことができます。
当記事では、水道水に含まれている塩素を除去する方法や、塩素から受ける影響について解説します。水道水の塩素が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事はこんな方におすすめです】
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目次
水道水の塩素を除去する方法
日本の水道水は、世界でもトップクラスの安全性を誇っています。これは、塩素により水中に含まれている雑菌や不純物が除去されているためです。日本では、水質を保つために残留塩素濃度が0.1mg/L以上になるよう水道法で定められています。
日本の水道水は、1957年(昭和32年)に制定された法令により、蛇口で検出される塩素の濃度(残留塩素濃度)を0.1mg/L以上保持するよう定められています(水道法施行規則第17条第3号)。 (mg/Lについての説明はこちらをご覧ください。) 一方、塩素の濃度が高いと味やにおいに影響を与えることから、快適に水道水を使えるための指標として、蛇口での残留塩素濃度の上限を1mg/L以下に抑えるという水質管理目標値も設定されています。 なお、人体への影響については、WHOのガイドラインでも5mg/L以下と示されており、 水道水のレベルでは心配ありません。 引用:東京都水道局「塩素消毒」 |
塩素の風味が気になる方は、以下の方法で塩素を除去することができるのでお試しください。
水道水を日光にさらす
汲み置きした水道水を太陽の光にさらすという方法があります。紫外線には、塩素を分解する力があるため、半日ほど日光に当てることで塩素を取り除くことができます。日光の当たらない室内でも塩素を減らすことは可能ですが、1日放置しても完全に除去することはできません。
また、塩素が除去された水道水は、殺菌作用が失われるため雑菌が繁殖しやすくなります。特に、温度が高い夏場は殺菌が活性しやすいため、汲み置きをする際は十分に注意しましょう。
水道水にレモン汁を加える
輪切りしたレモンまたはレモン果汁を水道水に入れるだけで、簡単に塩素を取り除くことができます。これは、レモンに含まれるビタミンCが塩素に反応して化学反応を起こすためです。
レモンの量は、コップ1杯に対しレモン汁数滴で問題ありません。市販されている容器に入ったレモン果汁でも塩素は除去できます。また、ビタミンCが豊富なキウイやオレンジでも同様の効果があるため代用可能です。
水道水を煮沸する
塩素は温度が高くなると蒸発するため、水道水を煮沸させることで塩素を取り除けます。完全に残留塩素を除くためには、少なくとも5分以上は煮沸させましょう。
また、水道水には「トリハロメタン」が含まれている場合があります。トリハロメタンは、沸騰させると量が増えてしまい、沸騰直後がピークとなります。そのまま15分ほど沸騰させ続けるとトリハロメタンは除去できるので、沸騰してもすぐには火を止めないよう時間に気を付けましょう。
水道水を活性炭に漬け込む
水道水に活性炭を入れることで塩素を除去できます。活性炭には、目に見えない細かな隙間が無数に存在しており、その隙間に物質を吸着させる特性があります。塩素も吸着されるため、水道水に活性炭を入れると塩素が除去される仕組みになっています。さらに、活性炭に含まれるミネラルが水道水中に溶け出すため、まるでミネラルウォーターのような仕上がりになります。
この方法で塩素を除去する場合は、水1Lに対して150gの活性炭を漬け込みましょう。あらかじめ活性炭を煮沸消毒し、十分に乾燥させておく必要があります。塩素が完全に除去されるまで時間がかかるため、活性炭を入れた状態で1日ほど冷蔵庫または常温で保存してください。
浄水器を使用する
市販の浄水器を使って塩素を除去する方法があります。塩素以外の雑菌や不純物も取り除いてくれるので、より安全で美味しい水を飲みたい方におすすめです。機種によってフィルターの種類や除去できる成分は異なりますので、事前に確認が必要です。機能が劣化してしまうと塩素を十分に除去できなくなるので、購入後のお手入れやアフターメンテナンスはしっかりと行いましょう。
水道水に塩素が含まれている理由
塩素には、水に含まれる雑菌や不純物を消毒する作用があるため、水道水の水質を保つために塩素消毒が行われています。蛇口から出てくるまでの過程で塩素がなくなってしまうと殺菌が繁殖してしまう可能性があるため、水道水には塩素が残っています。これを残留塩素と言います。
河川などから汲み上げられた水は、浄水場でろ過された後に塩素消毒が行われます。その際、給水所まで送水する間、殺菌効果が継続する最低限の塩素だけが注入されます。それは、ここで高濃度の塩素を注入してしまうと、浄水場付近の水道水の残留塩素量が多くなってしまうためです。その後、各地域に設けられた給水所で追加塩素を注入し、水道管で送水されます。
このように2度に分けて塩素消毒を行うことで、日本全国どこでも水道水の残留塩素量が一定になるよう調整されています。
水道水の塩素が体に及ぼす影響
水道水は、主に河川の水が利用されます。そのため、地域や川の水質状態によって浄水方法や必要な塩素濃度が異なります。また、夏は水温が高くなるため雑菌が増えやすいことから塩素濃度は高めに設定されています。
塩素濃度が高くなることで、影響はないのか心配な方も多いと思います。そこで、「身体への影響」と「風味への影響」について解説します。
身体への影響はほとんどない
日本の水道水は、そのまま飲んでも健康には害がありません。
WHO(世界保健機関)は、残留塩素濃度が5mg/L以下であれば有害作用は確認されなかったと発表しており、この数値を飲料水のガイドライン値としています。それに対して日本では、水道水に含まれる残留塩素濃度が1mg/L以下になるよう水質管理目標値が設定されています。WHOのガイドラインの5分の1の濃度まで抑えられているので、残留塩素が健康に被害を与えることはほぼないといえます。
東京都内だけでも131か所に給水栓自動水質計器を設置し、残留塩素濃度を監視しています。濃度が高い場合には注入塩素量を下げているため、水道水に含まれる塩素濃度は適切に保たれています。
(出典:厚生労働省「塩素(残留塩素)」)
水の風味に多少の影響がある
水道水に含まれる塩素は、水の風味に影響することがあります。その主な原因は「カルキ臭」です。塩素そのものの臭いに加え、塩素と水中のアンモニアが反応することで発生する臭いも含まれます。
厚生労働省は、水の美味しさの観点から残留塩素を1mg/L程度にするよう目標値を設定しています。
(出典:厚生労働省「塩素(残留塩素)」
水道水の塩素を除去した後の注意点
日本の水道水は、そのまま飲んでも健康被害がないよう水質が担保されていますが、風味が気になる場合は、自宅でも簡単に塩素を除去することが可能です。しかし、塩素を除去すると、細菌が繁殖する恐れが高まるため注意が必要です。
- 日の当たる場所や多湿な環境は避ける
- なるべく早めに飲み切る(2日以内が目安)
- 密閉できる容器に入れて冷蔵庫で保管する
- 完全に塩素が除去されているとは限らない
- 除菌方法によっては、すべての菌や金属類を除去できるわけではない
これらに気を付けて、適切に取り扱いましょう。
まとめ
日本では、水道水に厳しい水質基準が設けられているため、そのままでも安心して飲むことができます。しかし、塩素消毒しているため独特の風味や臭いが気になることがあります。そのような時に役立つ塩素を除去する5つの方法をご紹介しました。
とはいえ、塩素を除去した水は細菌が繁殖するリスクが高く、長い間保存することもできません。
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