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水郷柳川の暮らしは、掘割とともに
水郷柳川の暮らしは、掘割とともに

水郷柳川の暮らしは、掘割とともに

2022.12.20 水とともに

平野ひらの 幸二こうじさん

水郷柳川と言われますが、実は水に恵まれていない場所です。日本一干満差がある有明海に面し、海抜は0〜3m。二千年前、干潟の少し高いところに住み始めた人々はぬかるんだ土を掘り、雨水を溜め、排水する溝を作りました。これが掘割の原型です。
この辺りで真水が取れるのは矢部川だけで、その真水を引くため、人工の川や堰(せき)、廻水路が作られました。平安時代には堀と水田が碁盤の目のように広がり、今の形に整備されたのは江戸時代初期。隣の久留米藩とは明治の初めまで水争いが続きました。しかし本当に困った時は、融通し合っていたようです。
掘割があるから生活ができたので、人々はルールを決めて大切に使ってきました。朝いちばんのきれいな水は飲み水や炊事に。子どもが掘割で水遊びをしてもいいのは午後から。生活排水は、溜(ため)と呼ばれる場所へ流していました。その汚れた水は土の中の水路を通りながら微生物によって分解され、またきれいになって掘割へと戻るのです。

掘割の水を抜いて水草やゴミをすくい清掃する伝統行事「水落ち(水落とし)」

掘割の水を抜いて水草やゴミをすくい清掃する伝統行事「水落ち(水落とし)」

柳川のまちを縦横に走る掘割。最近はSUPを楽しむ人の姿も増えた

柳川のまちを縦横に走る掘割。最近はSUPを楽しむ人の姿も増えた

しかし上水道の普及で掘割の利用が減り、人々の関心も希薄に。ゴミが捨てられ悪臭を放つようになり、昭和52年、一部埋め立てる計画が持ち上がりました。市の水路係長だった広松伝(つたえ)さん(故人)はあらゆる調査を行い、埋め立ては柳川を荒廃させると市長に直談判。計画は奇跡的に撤回されました。私も30年前に広松さんの講演で地元柳川のことを再認識し、水の会に参加。その頃は最若手でした(笑)。スタジオジブリ(当時は二馬力)の『柳川堀割物語』は広松さんの熱弁が高畑監督を魅了し制作された映画です。若い人たちへ伝えていくため、水の会では毎年上映会を開いています。
2月には市民、市職員、水の会などたくさんの人が参加して「水落ち」という掘割の清掃を行います。期間中は名物川下りもお休みです(水門の外で一部運行)。それが終わったらひな祭りの船が運行され、柳川に春が訪れます。暮らしと文化のある掘割を、これからも大切に守り育んでいきます。

2月〜4月はひな祭りが実施される。写真は流し雛船

2月〜4月はひな祭りが実施される。写真は流し雛船

柳川の掘割を守った故・広松伝さん(写真/あめんぼセンター)

柳川の掘割を守った故・広松伝さん(写真/あめんぼセンター)

記事=平野 幸二(写真左)

平野 幸二(写真左)

福岡県柳川市の市民団体「水の会」事務局長。「水の会」では全国一斉水質調査、「水郷柳川水まつりスイ!水!すい!」への参加など、柳川市の水路担当者(写真右)と協力し、掘割を守り文化を育む活動を続けている。

 

映画『柳川堀割物語』無料上映会
令和5年2月12日(日)10時〜 あめんぼセンター
(柳川市一新町3-1 TEL:0944-74-4111)にて上映。どなたでもご来場いただけます。

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