水は生活に欠かせないものですが、水道水を飲む際にはその水質が気になるという人も多くいます。また、健康被害を考えると「カルキ抜き」をするべきか悩むこともあるでしょう。
実際にはWHO(世界保健機関)と日本の厳しい基準において、身体に影響のない範囲で消毒が徹底されており、そのまま飲料水として利用できます。しかし、風味の劣化が気になる場合や、特定の状況においてはカルキ抜きが必要となるのも実情です。
そこで本記事では、カルキが身体に与える影響とカルキ抜きの具体的な方法を紹介します。水道水に不安を感じた際には、ぜひ参考にしてください。
【この記事はこんな方におすすめです】
|
目次
カルキとは
カルキとは、消石灰(水酸化カルシウム)に塩素を吸収させてできる白い粉末状の物質のことです。「次亜塩素酸カルシウム」という正式名称でも呼ばれ、高い殺菌効果を持つ塩素を原材料としているため、水道水に含まれる微生物の殺菌・消毒に使用されています。
カルキは、毒性が低く殺菌効果も高いため、安全に使用できます。しかし、塩素を原材料としているため、過剰な使用は有害な健康への影響を及ぼす可能性があります。
カルキの身体への影響
カルキは、水道水の消毒に有効な消毒剤ですが、適切な濃度に薄められていれば身体への影響はありません。水質管理目標設定項目として、日本では「1mg/L以下」と定められており、水道水では「0.1mg/L以上かつ0.4mg/L以下」という独自の目標が決められているためです。
また、WHO(世界保健機関)における飲料水水質ガイドラインでは、生涯にわたり水を飲んでも健康被害が発生しない濃度として「5mg/L」という数値が決められています。
日本の目標設定項目を踏まえ得ると、日本において水道水を飲料水として活用し、カルキによる影響はないと考えて良いでしょう。
カルキ抜きとは?どういうときにやるもの?
カルキ抜きとは、水道水に含まれるカルキを何らかの方法で取り除くことです。詳しい方法は後述するため、ここでは以下にわけてカルキ抜きが必要となるケースを紹介します。
- 赤ちゃんのミルクや離乳食に使うとき
- 観賞用の魚の水槽に使うとき
- クセのない美味しい水を飲みたいとき
- 溶けにくい透明な氷を作りたいとき
赤ちゃんのミルクや離乳食に使うとき
赤ちゃんのミルクや離乳食には、カルキが含まれていないようにしたいと思う親御さんも多いでしょう。その多くは、「身体に負担がかかるから」「トリハロメタンの発生によって発がん性があるから」などの理由ではないでしょうか。
飲料水水質ガイドラインおよび日本の基準において、身体に負担がかかると想定されるほどのカルキは含まれていないので問題ありません。また、水道水から発生するトリハロメタンの基準値が定められており、毒性および発がん性を考慮した基準値ですので安心してください。
加えて、日本で販売されている粉ミルク等では、水道水の利用を想定したミネラルバランスで配合されるのが一般的です。心配な場合は、カルキ抜きを実施してから水道水を使いましょう。
観賞用の魚の水槽に使うとき
観賞用の魚の水槽を使うとき、カルキが小さな魚に影響をおよぼす可能性があります。例えば、1959年の北海道大学(島貫光治郎著)の論文によると、どの程度の塩素濃度で水生生物に影響があるのかの調査において、0.5mg/Lにおいては影響がなかったとされています。
日本の水道水に含まれるカルキ(塩素)の目標値は、「0.1mg/L以上かつ0.4mg/L以下」ですから、観賞用の魚には問題がないと考えられます。しかし、対象が「オタマジャクシ・金魚・小鯉」に限られており、熱帯魚等では明確なデータがありません。
これを踏まえると、観賞用の魚の水槽に水道水を使う場合は、カルキによる影響を考えて除去しておくほうが安心でしょう。
クセのない美味しい水を飲みたいとき
水道水に含まれるカルキは、濃度が高くなるほど風味を劣化させることがわかっています。そのため、クセのない美味しい水を飲みたいときにはカルキ抜きが必要です。
日本の厳しい基準において、カルキによる臭いや風味の劣化は抑えられつつあるものの、気になる人は試してみると良いでしょう。
溶けにくい透明な氷を作りたいとき
水道水には、水以外にもカルキを含めて多くの成分が含まれており、凍らせたときに白く濁ったり、溶けやすくなったりします。カルキ抜きで不純物を取り除くと、溶けにくく透明な氷を作れますし、風味の劣化を避けられるのが利点です。
ただし、カルキを抜いた時点で消毒効果がなくなるため、細菌が繁殖しやすい状況となります。作った後に長く保存せず、早めに使い切りましょう。
カルキ抜きの具体的な方法
水道水のカルキを抜く具体的な方法を、以下の5つにわけて紹介します。
- コストや時間がかからない煮沸
- 特別な道具を使わない汲み置き
- 早く飲みたい場合はレモン汁を入れる
- 飲み水でなければ炭を入れる
- 水槽用の水に使うなら塩素中和剤
コストや時間がかからない煮沸
カルキを抜くもっとも簡単な方法は、水を煮沸させることです。煮沸によってカルキ(残留塩素)が揮発(蒸発)するため、臭いや風味を損なわずに飲料水として利用できます。
ただし、一定の温度になるため冷ます必要がある場合、その状態のまま放置すると雑菌が繁殖するため、煮沸した水道水はその日に使い切りましょう。
特別な道具を使わない汲み置き
特別な道具を使わないなら、水道水を清潔な容器に入れて汲み置きする方法があります。およそ1日〜1日半ほど放置すると、カルキが揮発(蒸発)すると考えられます。
ただし、常温での保管は細菌が繁殖しやすくなるため、冷蔵庫に入れて2日ほど待つとよいでしょう。長期間の放置に注意し、適切な期間で使い切ることも大切です。
早く飲みたい場合はレモン汁を入れる
水道水のカルキ抜きには、レモン汁に含まれるビタミンCによる化学反応を利用する方法もあります。カルキは塩素ですから、化学反応によって以下の3つに変化します。
- 酸化ビタミンC
- 水
- 塩
コップ一杯を200mlと想定し、レモン汁は約1〜2滴でよいとされています。1リットルであれば2〜4滴を目安にすると良いでしょう。
飲み水でなければ炭を入れる
飲み水として使わない場合には、炭を入れてカルキを吸着し、除去する方法も一つの選択肢です。具体的には、水道水1リットルに対して約150gの炭を入れ、12時間ほど冷蔵庫で保管します。
さらに早くカルキを除去したい場合は、直射日光等で暖かくなる場所に保管するとより吸着が素早くなるので試してみましょう。
水槽用の水に使うなら塩素中和剤
水槽用の水に使う場合は、市販されている塩素中和剤を使う方法があります。安価なものが多く、素早く除去できる利点がありますが、観賞用の魚ごとに専用の中和剤が販売されていることもありますので、よく確認して購入しましょう。
なお、水道水に含まれるカルキを除去するだけに限らず、必要な成分を含んだものも販売されています。
水道水にまつわるよくある質問
さいごに、水道水にまつわる以下のよくある質問へまとめて回答します。
- 水道水とペットボトルの水の違いは?
- 水道水とウォーターサーバーの水の違いは?
- 水道水を飲み続けるとどうなる?
水道水とペットボトルの水の違いは?
水道水とペットボトルの水の違いは、以下が挙げられます。
- 安全基準の厳しさ
- 選べる水質等の種類
ミネラルウォーターは、食品衛生法に基づいて生産されるもので、殺菌や除菌工程を加えて約40項目の基準でチェックされています。一方で、水道水は基準値が厳しく設定されており、約50項目のチェック項目があることから、ミネラルウォーターよりも厳格です。
ただし、ミネラルウォーターは代表的な軟水・硬水などの細かい種類を選べますが、水道水は一定の基準をクリアした水のみとなるのも違いの一つです。
水道水とウォーターサーバーの水の違いは?
水道水とウォーターサーバーの水には、カルキ等の一定の数値以上で身体に影響があるとされる成分の含有率に違いがあります。
水道水は、一定の基準下において安全性が確保される基準値未満のカルキ等の不純物が含まれています。一方で、ウォーターサーバーの水は主に地下水を用いており、加熱処理およびろ過の繰り返しのみで余計なカルキ等を使わずに安全性を確保しているのが特徴です。
品質管理や検査は双方で行われているものの、より不純物を含まない水を求めている場合はウォーターサーバーの水を選ぶと良いでしょう。
水道水を飲み続けるとどうなる?
水道水は飲み続けても、身体に悪影響を与えるといった健康被害が発生することはなく、安全に飲料水として利用できます。
WHO(世界保健機関)の基準に加えて、日本独自の厳しい基準をクリアしていることで、健康に影響はないとされているためです。ただし、微量の有害物質は存在しているため、気になる場合にはカルキ抜きをしましょう。
まとめ
水道水には、「次亜塩素酸カルシウム」という正式名称を持つカルキが含まれています。そのまま飲料水として生涯飲み続けても健康被害はありませんが、不安な場合には以下のカルキ抜きを試しましょう。
- コストや時間がかからない煮沸
- 特別な道具を使わない汲み置き
- 早く飲みたい場合はレモン汁を入れる
- 飲み水でなければ炭を入れる
- 水槽用の水に使うなら塩素中和剤
水道水は厳しい基準によって安全性が確保されていますが、より安全性を確保したい場合には、ウォーターサーバーの水をおすすめします。
シャインウォーターは、水道水を独自のクリーンシステムによって、安全・安心な水を作りだし、美味しさと清潔を保てるウォーターサーバーです。カルキやトリハロメタンなどの不純物も取り除けますので、ぜひチェックしてみてください。