普段何気なく見過ごしてしまっている、水に関する疑問や謎。 いざ子どもたちに「どうして?」と聞かれると答えに困ってしまうことも。 そこで今回は、身近なのに意外と知らない水のあれこれに関して、 福岡市科学館の方に教えていただきました。 毎年アタマを悩ませる夏休みの自由研究、 今年は「水」をテーマにしてみてはいかがでしょうか?
ヒミツは光にあります。色というのは光があって初めて見えます。暗いところでは色もわかりません。そしてモノはある色の光は吸収し、ある色の光は反射します。例えばリンゴは、赤い光を反射して、それ以外の色の光は吸収しているので赤く見えるのです。太陽や蛍光灯の光はパッと見ると白っぽく見えるかもしれませんが、実は様々な色が混ざり合っています。絵の具の色を混ぜると黒くなりますが、光は多くの色の光を混ぜると白くなるのです。水は赤色の光を吸収し、私たちの目には残った青色や緑色の光が反射して見えるため水色っぽく見えるのです。ただし赤色の光を吸収する量はほんの少しなので、コップの水くらいでは青く見えず、プールなど大量の水が必要です。ちなみに「虹」は、太陽の光が雨粒によって一色ずつに分解されるため、カラフルに見えます。
海に塩が溶けているからです。塩は正式には塩化ナトリウム(NaCl )といい、塩素とナトリウムという2つの元素からできています。大昔の地球は今以上に火山活動が活発で、塩素を含んだ「火山ガス」が雨の中に溶け、海へ運ばれました。さらに火山ガスを含んだ雨は岩石を溶かす力が強いので、岩石に含まれているナトリウムが溶け込み、これが塩素と結びついて塩化ナトリウム=塩になったと言われています。また、大昔から現在まで岩石に含まれる塩素とナトリウムが徐々に溶け出して海に運ばれ、海の水が蒸発することを繰り返して、塩分濃度が濃くなったという説もあります。
科学の実験などで使う純粋な水(蒸留水/H2O)を飲んでみると、味はしません。ではなぜ味が違うかというと、水以外の成分、例えば水に含まれるミネラル分などの不純物が水に溶けているからです。ミネラルを日本語で言うと「鉱物」。地下水などの水は岩石の成分である鉱物が溶け込んでいて、この成分が多い(ミネラルの多い)水を硬水、少ない水を軟水と呼んでいます。
川の水は海に流れ込み、海は太陽の光を浴びてどんどん水が蒸発していきます。蒸発した水はやがて雲になり、雨となって地表に降り注ぎます。そしてそれが川になり… というふうに、水というのは形を変えて地球をぐるぐると循環しており、その総量は時間がたってもほぼ変わりません。しかし水が蒸発したままで、もし雨が一切降らなくなったとしたら、川の水はなくなり、その結果、海の水も減ってしまうかもしれません。
海水が増えたり減ったりしているように見える潮の満ち引きには、主に月の引力が関係しています。月の引力が海水をひっぱることによって盛り上がり、海水が増えたように私たちには見えます。 一方、月と反対側の海水は、潮汐力(天体の各部分に働く重力と天体の重心に働く重力との 差)によってこちらも盛り上がります。ちなみに、太陽の持つ引力は遠いため月に比べると半分くらいですが、太陽と月が一直線に並んだ時(新月・満月)は2つの引力が合わさってより大きく盛り上がります。これを大潮と呼んでいます。